「みちこのみたせかい」感想続き

演劇

 2017年5月21日に千穐楽を迎えた、アリスインプロジェクト「みちこのみたせかい」札幌公演。私が観たのは全8公演中2回目の18日夜公演と、3回目の19日昼公演です。わずか2回です。

 自らの演じる役に全ての力を注ぐ皆さんが伝えてくれた感動は、私の心にずっと残っています。出演者の皆さん全員を讃えたい気分。いま私の心に満ちているこの気持ちは、そのままではすぐに霧と散ってしまいます。2回観ただけで何かを語るなんて厚顔無恥も甚だしく真におこがましいのですが、それでも記しておこうと思います。長々と書き出したらきりがないので、特に印象に残ることだけを簡潔に。

 いつかどこかで再演があるかも知れないから基本的にネタバレは避けたい。触れざるを得ないところだけ少し触れます。

 

1.作品について(自分の理解、または分からないところ)

・未知子の学生時代は1930年の設定。昭和5年。戦前のミッションスクールという印象。仮に18歳だとしたら1912年(明治45年/大正元年)生まれ。となると劇中の”現代”は昭和晩期か平成初期の頃? とは思ったがノートPCの感じから21世紀にはなっていそうな感じ。70代ではなく、80~90代となってしまうが、そうなると現役医師の絹江さんがあれほどきびきび動くのに無理が出る。ま、細かい詮索は野暮ってものですかね

・出演者が所属する機関・団体の宗教的政治的背景は分からない。政治的思想信条も語らない(そりゃそうだ)

・あえて、ほぼ衣装チェンジなし(例外:◯◯の白衣着用有無)、老けメイクなし。その効果として未知子の意識がどの時代にあるかがパッと見では分からない。見事なミスリードで観客は惑わせられる

・とことん男を出さない。異性間の恋愛はほのめかしすらしない。登場人物同士での思慕の情はあると想像した方が観やすい。敬意と友情、憧れと畏怖

・車谷と卯月の間に何があったか、卯月の◯◯と関わりがあるのか恐らくは意図的に触れない

・なぜ◯という言葉を言わせないようにしているか? 避ける理由はAI化が生の延長上にあるという脚本家の意志ゆえか

・ユイとカイの親はどうしてる? 男親の存在を排除するためにあえて触れないのか、いないのか

・物語の進行が加速度を増す後半、バックアップさせたものは◯◯自身の人格データ

・前半で未知子の心に現れる絹江は学生時代の絹江。後半の絹江は、現代の絹代を元にした人格が◯◯の力で未知子の中に現れたもの。◯◯は己のリソースを全て注いでいる。猫の話について受け答えが異なってくることで、観る者にもヒントが与えられている

・未知子が出会った人の中に車谷や林、卯月が含まれるのは何故?

・学生時代の文芸部の仲間たちのその後。◯◯を作ったけど見ることは出来なかったのは何が要因か。病か、戦争か

・人生の卒業式→未知子の◯◯から◯◯が離れる→AIの中に◯◯を残す→川底が何であっても水が流れればそれは川

 

 時が巡り、どこかで再演があったとして未見の方が見てもなるべく分からないように書いたつもり……”◯◯”で隠したつもり……だけどネタバレ隠しきれてませんね。ごめんなさい。

 

2.出演者のみなさんについて

 

・敷島未知子役、吉本ほのかさん

 座長、と呼ばれてましたね。えっ、19歳?! まだ十代とは思えないほどに落ち着いた演技。見事です。未知子が正気に戻った現実世界の場面では、老境の女性を表現しようと声の質を変えていましたね。18日夜よりも19日昼のほうが、声色の変化がより分かりやすくて『あ、吉本さん工夫している…』と思ったものです。当時の女学生の清楚な雰囲気の見本みたいないでたちに惚れてしまいそうでしたよ。

 

・織部絹江役、塚本奈緒美さん

 交流会で話して、いきなりエヴァ知ってますかと言われてびっくりしました。塚本さんの声の感じが時々、エヴァで言うならユイを演じる林原めぐみさんの声っぽいなあと思う瞬間があったので(レイじゃなくてユイ)。絹江の演技において塚本さんがイメージしていたのは、赤城リツコ博士だったそうです。へ~そうなんだ、と思いました。興味深いお話をうかがえて嬉しかったです。制服姿も可愛らしかった~。全然JKいけます!

 

・井村結役、廣瀬詩映莉さん

 中盤、結が発する言葉に胸を打たれました。アホみたいに振る舞っていた彼女が、未知子のことを強く想って発した言葉。自然に涙が出ました。廣瀬さんの演技を間近で観ることが出来て幸せです。帰宅してすぐに「She is ELLY」全三回を通して観てしまいました。シリアスな演技も、コメディエンヌな演技も印象深いお方です。

 

・井村解役、宮田桃伽さん(17日~20日昼公演までの代役)

 代役決定から初演まで2日という僅かな時間で役づくりをしっかりと成し遂げたあなたの頑張りとプロ根性と才能に感服しています。18日に観た当初は、あなたの登場場面ごとに、お姿を見ながら、久保田さんならどんな風に演じたかなあという思いがあったのは事実です。すみません。しかし、観ているうちに解は宮田さんその人だと、雑念を排しました。全身で打ち込む演技に見入ってました。19日昼も話し掛けに行けば良かったと思っています。今回の自分の行動で後悔していることのひとつです。

 ありがとう。またあなたの演ずる舞台に、もしくはテレビ番組に出会えますように。楽しみに待っています。

 

・井村解役、久保田れなさん(20日夜公演~21日千穐楽)

 観ていないので何も語れません! くやし~。いえいえ、奇跡のような、降板からの復帰。素晴らしいことです。19日昼公演の時に登壇してくださってありがとう。姿を見ることは出来たのです。嬉しかったです。

 それにしてもれなさんの演技を観ることが出来た方々は幸せです。幸せ分けていただきたいものです! 再演あればいいのにな~(←勝手ね)。

 

・アイ役、駒野遥香さん

 駒野さんしかアイ役は有り得ないでしょう、と思いながら拝見しておりました。そういえば17日の初回ではアイの声には未だエコーは掛かっていなかったんですってね。18日の公演からの試みだったのでしょう。非実在感が出てとても良い演出だなあと思っておりました。

 それにしても、これほどの透明感を持つ美少女が札幌にいたのかと驚いています。舞台を観に行けて、出会えたことに感謝です。交流会での優しげな笑顔もすてきでした。これから多くの人々に注目されてメディア露出が増えていきますように。色々なところでの活躍を楽しみにしています!

 

・春日花役、長南舞さん

 以前Twitterをフォローしていたこともあったけれど、いつしか動向を追わなくなってしまっておりました。もちろんお姿を拝見したのは初めて。華奢な体で元気いっぱいに演じていて、心が和みました。ちょっとしたセリフ回しのミスも可愛くカバーしていて、心地よく観ていられましたよ。

 

・車谷千鶴子役、小西麻里菜さん

 誰も書かないでしょうから書きますよ。19日昼公演で胸元にこぼれていた涙の跡を僕は見ました。忘れられません。卯月を強く想う車谷その人になりきっておられるのだなあと息を呑みました。ひと時も目が離せませんでした。気迫の演技を拝見しました。21日にはもっと泣いて涙涙であったと伝え聞きましたよ。見たかったなあ。

 パンツルックでスラリとスレンダーで、行動的な女性像そのものだなあと感じ入っておりました。

 

・西倉晶役、ちーしゃみんさん

 役にかける思いと悔しさを、平岸我楽多団で拝見した翌日の観劇でした。晶は、事態を進めるのに深く関わる大切な役どころ。配役発表後に台本を読んで捉え直したちーしゃみんさんの気持ちそのままに、イイ役じゃないですか! 今回、ちーしゃみんさんのお姿を拝見したのは初めてでしたが、ほとばしる元気の良さが伝わってきていい気分でしたよ。

 

・立原冬役、横山奈央さん

 切ない役でしたね。でも、未知子への気持ちは伝わりましたよ。(最期の独白について、観ていた時に思ったことを色々と書いてみたのですが、ネタバレを回避しようもないので消しました)

 

・湯川野枝役、牛乳寒天なつみんさん

 可愛らしい声でしたね。けなげな感じの後輩役がなつみんさんの雰囲気に似合っていたと思います。 

 

・新井ちか役、長久保桃子さん

 設定された性格が観る者にきちんと伝わってきましたよ。先輩役いい感じでした!

 

・村瀬あおい役、鈴木花穂さん

 以前の活動の頃、お姿拝見していたはずなんですが覚えてないんです。ということは新鮮な出会いなのです。ショートカットの似合う、笑顔がキュートで声の可愛らしい女性、という印象。交流会でも話しましたが、ホント可愛いなあ~って思いながら動きを追っておりましたよ。

 

・鎌田のばら役、谷口郁美さん

 ドンと構えた介護チームのリーダー。お出ましになると安心して拝見出来ましたよ。

 

・坂上希美役、羽美さん

 19日昼公演のラストの、全員が舞台に登場しての歌唱の際。大いに涙されていたことを覚えています。一緒に泣いちゃった。てへへ。

 

・水元香苗役、尾崎綺澄さん

 芸能活動ラストだったんですか。お疲れ様でした。劇中に見せる笑顔がチャーミングでした。お元気で!

 

・林真央役、旭さん

 格好いい役どころでしたね。車谷が正しい道を選ぶようにサポートする立場。女性がイケメンな感じ、とっても好みです!

 

・倉橋玉枝役、岩杉夏さん

 凛とした立ち姿が印象的でした。劇中の講演内容も、とても考えさせられるものでした。今回の演劇の演出部にも属しておられたのですね。準備に色々と苦労があられたのではないかと拝察いたします。ちなみに岩杉さんはとても私好みのお顔立ちで、見る度にどきまぎいたしておりました。また観劇の機会がありますように。

 

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 以下、ダブルキャスト。私が観た18日は星組、19日昼は月組でした。双方観られて、演者さんの解釈の違いのようなものが垣間見えて興味深いものがありました。

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・剣先千代役、(月組)川辺志穂さん

 聞き取りやすい声でした。思いを未知子に伝えるシーンが印象的でした。これから演技の方面でも様々な挑戦があるのでしょうね。楽しみです!

 

・剣先千代役、(星組)西森妃奈さん

 自分の意見をはっきりと言える役どころ。観ていて爽やかな風が吹くような気分でした。くりくりっとした瞳をよく覚えていますよ。戦後、もっともっと長生きしてほしかったな…。

 

・古沢加悦役、(月組)田中優奈さん

 下半身を安定させるよう鍛えなきゃいけない役どころだということは伝わりました。プラミスィアスはプロメテウスのことなのですね。調べました。

 

・古沢加悦役、(星組)菊地紗弥佳さん

 久々に元気なお姿を拝しまして嬉しゅうございました。等身大、って感じの役どころで微笑ましかったですよ。プロメテウスは人類に神の火を与えたもうた神様なんですね。調べました。

 

・加山あけび役、(月組)藤原千尋さん

 こんなに肉感的な介護士さんがいたらすぐ元気になってしまうな~と。おっと失礼。頑張りやさんな役どころでしたね!

 

・加山あけび役、(星組)綾瀬りのさん

 こんなに肉…(以下同文)。魅惑的な笑顔も印象的でした!

 

・卯月温子役、(月組)脇田唯さん

 星組の橘さんはA-5とA-6のあたりまで来て至近距離で演じてくれていたものですから、19日昼公演でA-6に座った僕は期待していたわけですよ。脇田さんが膝小僧に触れるか触れないかのところで演技してくれるぞ楽しみだ! と。しかしその場面、思ったより遠くで演技されていて、当方の席の傍へはいらっしゃいませんでした! よこしまな考えはダメね。

↓(5/23)

 感想を書いていないことに気付くとは流石ですね。

 感想…うーんんん。19日昼公演で最初に登場した時にスーツの襟がめくれてて、ああきっと慌てて着て出てきたんだろうな、と思ったことを思い出しました。………あ、感想じゃないですよねこれも。必ずや、いつか思い出して追記します! きっとね!

 

 

・卯月温子役、(星組)橘美羽さん

 得体の知れない雰囲気が出ていて、迫力もあって正直ビビりながら観てました。Twitterで見る普段の表情はなんとも穏やかなのに、凄いなあと思います。お疲れ様でした!

 

 

 以上です。

 

 とりとめもない感想です。おのぼりさんのおっさんが舞台観てつらつら書いてるだけのものですから、どうかお気になさらず。お読みくださりありがとうございました。

 

 改めて。

 すてきなSFファンタジーを観劇しました。関わられた全ての皆様に、いち観客として感謝いたします。すばらしい作品との出会いをありがとうございます。

 願わくは、再演を! いや、新しい作品へのチャレンジを! でしょうかな。また来年?

 諸々大変だとは思いますが、演出の納谷さんが仰っていたとおり、北海道にガールズ演劇の炎を絶やさず灯し続けてゆかれますように。心の底から応援しています!

 

 

 

 

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