痛快とは言いかねる読後感なれど続編が読みたくなる作品世界にどっぷり浸り、ああシアワセ~。そんな気分で読んだ本。類似したニオイのする福井晴敏氏の作品よりもライトに読めたように思います。
先月発売されたばかりのハードSF。近い未来、民間企業が打ち上げたロケットが制御不能となった、その原因に近づく者たちに追っ手が迫り、国家間の謀略を超えた結末に至る…というお話です。
次々と主人公が翻弄されてゆく展開はお見事。ヒロインと言うべき女性の言動が情動的過ぎて『あの立場でこんなことしか言えんのかいな』と辟易しそうになる寸前で物語が動くので、イラつくには至らず、楽しく読み進めることが出来ました。中盤の舞台となる護衛艦の艦長や幕僚たちの人物造形も『幾らなんでも底意地悪い!』と思っていたのですが、読んでいけば納得できるようになってます。読む側もまた陸・海・空・宙と目まぐるしく翻弄されつつ終盤まで一気に走らせてもらいました。小松左京賞を受賞したのも納得の、読み応えのある一冊です。
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