極上のハードSFを読んだ

火星縦断 (ハヤカワ文庫SF)

火星縦断 (ハヤカワ文庫SF)

先日、図書館から借りてきて3日ほどかけじっくり読み、最後までドキドキハラハラさせられっぱなしでした。読みごたえのある良質なハードSFに出会えた喜びに浸っています。昨年出た本ですが今読めてとても幸せ。

巻末の解説に示されてますが、タイトルである「火星縦断」がテーマでありアイデアである、インパクトのある作品です。第一線の研究者でもある作者による、宇宙での人間の暮らし方や火星そのものの描写が細やかで、現在の延長線上にある未来を見せてくれています。それゆえに、そのディテールは非常にサスペンスに富んでいて恐ろしい。意外なものが人間の生存を危うくする脅威になり得ることに驚きました。

火星でのドラマに並行して、登場する6名の宇宙飛行士たちの回想の形でバックボーンが示されていて、その中にSF性の高いアイデアがちりばめられていることにも感嘆。そのまま短編小説が作れそうで、物語の厚みを増していると思います。そして、最後の数ページを読むまではよもやあんな結末を迎えようとは誰しも思わないことでしょう。全ての謎が明かされてなお、読後の爽やかさが損なわれないことに大いに感服。この作品、ぜひ映画でも観てみたいものです。「レッド・マーズ」が映画化出来たんだから、コチラだって大丈夫ですよね? なーんて無責任ですが。

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