地を覆う霧は時につれて晴れてゆき、空の雲もいつしか流れ去り、錦大沼に達する頃にはすっかり夏空のようになってしまった。
寒いかと思って着込んできたせいで暑い。露に濡れる広場の草むらに産卵するトンボのつがいたちを見ていると、そこはかとなき無常を感ずる。
小さな甲虫がそこかしこにいた。緩慢な動きだったのでもう少し近づけたかも知れない。何という名の虫なのだろうか。
まだまだ紅葉には早かった。見える木々の一割も赤くなっておらなんだ。
湿地帯を伸びる、はかなき木道。乗るときしむ。
背丈まである笹薮や顔にかかる蜘蛛の巣、草むらの中から突然飛び立つ鳥たちに驚かされて、怖いアトラクション並みにドキドキさせられて正直参ってしまい、途中でドロップアウトして近くの温泉に逃げ込みましたとさ。湯に浸かってのんびりリフレッシュの午後でした。
コメント