- 作者: 黒坂みひろ,ギレルモ・デル・トロ
- 出版社/メーカー: ゴマブックス
- 発売日: 2007/10/17
- メディア: 文庫
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苫小牧はですね、映画館がほとんど淘汰されてしまったせいで、イオンの中にあるスガイに来ない新作映画は他都市に出張ってでもないと、DVDになるまで観ることが出来ません(ひとつある単館は健在だけれど)。なので「続・三丁目の夕日」もまだ観てません。悔しいけど、札幌まで映画のために行ったりなんかするもんかい。…なのでヱヴァ破の時はぜひとも全国公開に合わせてくださいませ、スガイ各位様様。
ってワケで、ようやく苫小牧では本日より公開の「パンズ・ラビリンス」を勇んで観に行ってきました。ここまで遅れての公開だからか、初日初回なのに20人くらいしかいなかったんじゃないだろうか。ああもう。
1944年、内戦終結からまだ5年ほどしか経っていないスペインが舞台。再婚した母親に連れられて、新しい父親である陸軍大尉が率いるレジスタンス掃討軍の駐屯地にやってきた少女が主人公です。ふとしたきっかけで、おとぎ話が大好きな彼女にこの世のものとは思えない不思議な使者から、驚くべき出自と彼女の魂が生まれた世界へ行くための試練を授けられ、さぁどうなる!? という話です。異世界を冒険した女のコが成長してメデタシメデタシのファンタジーを想像していたのですが…。
以下ネタバレあり。
そんな甘いモノではありませんでした。正直、観終わった後ぼうぜんとしてしまいました。魂の救済という意味では確かに満たされているのですが、現実世界に起こるショッキングな事象と密接に絡むミッションを経ての結末なので、トータルで見たら悲劇です。血、血、また血です。キリスト教的な死生観に立たないと、彼女の幸せは受け入れがたいものかも。
他の映画の際に予告編を観ていまして、どうやら全体主義国家っぽい感じの舞台設定だというのは分かってました。その時、私の頭にぼんやりと浮かんでいたのが『全部が主人公の現実逃避的な妄想の話で、結局夢オチなのでは?』というもの。まぁギリギリ違ってました。そんな想像もあってどう転んでも暗い話にはならないだろうと高をくくっていたのですが、私ごときの素人考えはあっさりと覆されました。冒頭からいやでも見せられる、大尉による露悪的なまでの残虐シーン。PG-12の理由が少女のイケナイ姿とかのせいだったらいいのに(おっとっと)なんて思っていた淡い期待も無残…。そして、最後もっともらしい言い訳してたけど、あの使いの者「パン」って死神そのもの。全てのミッションが主人公から家族を含む現生での幸せを奪うことに繋がっていたと気づいて、暗然たる気持ちになりました。なんと可哀想なことかと。
ごめんなさい、私には後味の悪い作品でしたが、主人公の少女オフェリアを演じた女のコが可愛らしかったのは救いですね。
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